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田中 江理
稲武の山を駆け回る私を、10年前のわたしは想像できたでしょうか。
(駆け回ったかどうかは微妙なところですが)
インドア派の私が、それなりに運動を楽しむきっかけになったのは自転車に出会ったお陰でもあるのですが、まさか山を自分の自転車で走る日がくるとは!
Inabu Base Projectのお陰で、ずっと脚を踏み入れてみたかった世界に、一歩踏み出すきっかけがやってきました。なんだかマウンテンバイクって自由そのものを感じれそうだし、山を走って、土のふかふかや木漏れ日を間近に感じられるのって、精神に良さそう。空気もうまそうだしね。
そんなぼんやりとした憧れから、ママチャリのようになっていた自転車を、マウンテンバイク仕様に組み替えて、来る稲武Trail Tourの日を待っていた訳です。
そして迎えた、当日朝。
「怪我と良い写真が撮れないことだけは避けたい!」
という不安から、青白い顔をした私を待っていたのは、淹れたてのホット珈琲とおやつと、知った顔。加えて地元女子や小中学生の姿もちらほらと。ほっ、と一息。少し肌寒い朝の空気と一緒に緊張感をほぐす時間。
ライダーズミーティングを経て、いざ山の中へ!
、、、乗れない。
みなさんが一生懸命作った汗と努力の結晶のトレイル。気持ちよく味わわせていただきます〜 と、行きたいところでしたが、私の運動音痴ぷりを遺憾なく発揮し、前半は乗ったり降りたり、押しては歩いての繰り返し。
前後の初心者さんたちと
「なんだかよくわからないけど、楽しいですね!」
「坂道で止まってしまったらどうやって再スタートするかわかりませんね!」
「でも楽しいですね!」
なんて呑気なライド(ほぼハイク)を楽しみました。
そんな私たちを尻目に小中学生は先生の後ろにピッタリくっついて、どんどん上達していきます。こどもの成長は本当に素晴らしい! 勝手にやって、勝手に成長して、素直に吸収して、どんどんおとな達を追い越していく。おとなの最大の憧れは、もしかしたらそんなこども達なのかもしれません。
マウンテンバイクがおとなだけの遊びじゃなくて、こどもたちとシェアできる遊びになると、もっともっと楽しくなるのかもしれないなって、前をびゅんびゅん走っていくこども達の背中を見て思いました。
そういう意味でも、ホワイトゾーンの稲武のトレイルがあるって素晴らしいこと。しかも、自分でトレイルを整備して自分で走れるなんて、なかなか得られない環境を提供してくれています。用意されたことで遊ぶだけになってしまったおとなも、自分の力で心底楽しむことの出来る場所なのです。
以前は名古屋に住んでいて、地元の稲武に戻って来たらこんないいイベントが! マウンテンバイクも名古屋で購入していたし、もっと地元で走れたら良いな、と思って。という女性にも会いました。
彼女はツアー後の懇親会で利用させていただいた「ヒトトキ」さんで働いているのですが、のんびりトレイルを降りた私たちと別れ、足早にヒトトキさんの店舗へ向かい、せっせと料理の準備に励んでいました。
こどもの闊達さは当然のことながら、女子の逞しさにもなんだかとても嬉しくなる時間でもあったのです。
こうやって、地元の人と遊びにいく人が喜々としてトレイル作りや整備、マウンテンバイキング、日々の生活に勤しめる場所の拠点として、大きな広がりや影響力を持つ場所になるとといいなと思っています。
豊かさの価値観はそれぞれですが、私の中の「ああ、豊かだな」って感覚はしっかりと刺激される時間でした。
田中 江理
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