INABU BASE

PROJECT

愛知のチベット「稲武」始まる働き方革命

我々の目指すもの、共に目指したいもの

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2019.1.8 vol.7

自転車がつなげた人たち

トヨタケ工業株式会社

横田 幸史朗

昨年は雪のはじまりが遅く、12月の中旬になってもまだ雪がありませんでした。ちょうど同じころの一昨年の写真を見ると、見事な樹氷の中でスノーライドをしているではありませんか。昨年は同じ時期のライドはとても見事な落ち葉ライドでした。それはそれでとてもきれいで楽しかったのですが。雪の降らないのが温暖化なのか単なるブレなのか、季節と一緒に動いているとそんなことに気がついたりもします。

 

さて、前回のコラムから早くも半年以上経ってしまい、世の中は季節感のないクリスマスと年末を経て、新年を迎えました。平成の世の中が終わることの偶然か、世の中では大きな変化がグローバルのレベルで起きました。北朝鮮のシンガポール訪問から始まって、米中の摩擦や、欧州の移民問題、日本では外国人材の受け入れや消費税など。また、民間ではCASEカーに代表される100年に一度と言われる自動車業界の変革、度重なる不正報道や日産のガバナンスの問題がある中、働き方改革と紐づいた副業兼業元年と言われ、市民生活を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。「今まで当たり前だったことが当たり前でなくなるのだろうな」 ちょうど一年前にあったその焦燥感は、一年経った後に間違いないものとなりました。それは例えば、会社でもキーマンが一人定年を大きく過ぎて退職した場合、そのベテランの方が陰で支えていたことがいかに多く、若手がそれに気が付いていなくて、会社の仕組みとしても引継が十分でなく、当たり前に回らなくなることと似ていて、同じことが市民生活、社会インフラでも大なり小なり起きているのだろうなと。

 

そんな中、我々のINABU BASE PROJECTは地域の問題解決に即した活動を楽しみながら進め、ファンづくりを続け、多くのメディアにも取り上げられ、その中で共感してくれる人が増えて、ついには我々の提唱する3×2日の働き方に共感し来年4月に新卒として稲武にIターンしてくれる若者も決まりました。詳しくは本人のコラムに譲りたいと思いますが、彼以外にもドイツ出身であったり、自転車のメカニックであったり、トラックドライバー経験者であったりと数々のプロフェッショナル達が稲武の働き方と環境に共感し仲間になってくれることになりました。また、一般参加では香港からの参加者も動画撮影をしてくれましたが、彼の動画とリアクションを見ると世界のトレイルに負けないコンテンツであったと思います。

 

期首のコラムVol.6の時に書いた「ある成果」 それが、1年経たずして実現されている現状をどのように考えればよいでしょうか。放っておいたら5年後には地域もろとも、会社も維持ができなくなる、そういう危機感は昨年実施した地域住民アンケートの結果を見ると明らかでした。「あと数年たって自分が車を運転できなくなるとここでは住めなくなる」そう思っている世帯が半分近くいました。もともと仕事だけでなく先祖代々の畑や山林、行政に頼らない地域行事など一人何役をやってきた地元の方々の働き方、暮らし方。今都心部では兼業副業元年と言われ、企業の枠の中では自分の力を発揮しきれていない、会社と家の往復だけの生活ではない何かに取り組みたい、そういった戦後の都心部での大企業への就職と核家族化、その後の世代が求めている何かに私たちの提案が届いたのだと思います。地域資源を再発見して生業につなげる、具体的に言うと、ヤマという最大の資源をマウンテンバイクとつなげ、自ら仕事を創出しながら、みんなも楽しむ。これらの生活スタイルが具体的にイメージついたということではないでしょうか。

 

多様性のある将来性のある田舎とマウンテンバイク、つながりましたでしょうか。我々が目に見える成果として出してきたものは、課題を抱える地域に対してはまだまだ微力ですが、この流れが多くの人の心に伝播していることが、一番の成果と考えています。

 

今年はプロジェクトの自立化への大きなチャレンジの年となります。引き続きご支援いただけますようよろしくお願いいたします。

 

次の機会には稲武へ移住する若者らに、それぞれの考え方を綴ってもらおうと思います。

 

2018年

主な報道履歴

1月18日

2月25日

4月6日

4月26日

8月6日

8月12日

9月3日

10月3日

10月12日

10月20日

10月23日

 

中部経済新聞(共同通信による記事) 「山あいの会社存続へ移住促進」

FM特別番組「あいちの山里で暮らそう、働こう 移住・仕事セミナー2018」

矢作新報 「マウンテンバイクで山村と都市をつなぐ

中日新聞 「稲武 活性化へGO!」

CBCラジオ 北野誠のズバリ 「地元に聞いちゃうぞ」

岩手日報 「人材クライシス 働き手の拡大不可欠」

とよたNOW 「まちさとみらい塾for Kids」

中日新聞 「稲武MTBガイド 発進」

東京新聞 「私の働き方で町元気に」

ひまわりネットワーク ハレソラ「イナブ マウンテンバイクチャレンジ」

The Japan Times 「Inabu Base Project brings job opportunities to Aichi」

 

筆者プロフィール

横田 幸史朗

 自動車用シートカバーメーカー「トヨタケ工業 株式会社」社長

 地域の新規定住者受け入れ支援団体「OPEN INABU実行委員会」代表

 豊田市 市民発!ミライ・チャレンジプロジェクト補助対象事業「INABU BASE PROJECT」主催

1975年生まれ。動物占いは「気分屋の猿」、趣味は読書とサイクリング。南山高校男子部在学中にアメリカアリゾナ州フェニックスに1年間交換留学。卒業後、青山学院大学法学部へ。EU法の域外適用について学ぶ。卒業後ブラザー工業株式会社入社。情報企画部にてグローバルのITインフラ構築に携わる。後、欧州統括会社のBrother International EUROPEに出向、現地の経営企画部にて欧州17か国の月次決算システムの導入とユーザー(現地社長)サポートを行う。6年間半の任期後、2010年に帰国。帰国後名古屋商科大学にてGlobal MBAの履修を始める。一年間ブラザー工業本社のIT企画にて欧州で得た経験をアジアで展開するプロジェクトを立ち上げる。2011年2月末ブラザー工業退職、4月より実家がオーナーであるトヨタケ工業株式会社入社。2013年9月にMBA課程修了。2015年1月より社長就任。OPEN INABU事業や新規顧客の獲得、会社の近代化などを行いつつ、事業承継後の持続的可能な企業となるよう、地域と一体となった経営を進める。2016年には「遊ぶ」「働く」を考えて実践するINABU BASE PROJECTが、豊田市主催する補助事業の対象となり「稲武で始まる働き方革命」を掲げ、ミッションの成立を目指す。

 

1999 〜 2003 ブラザー工業株式会社勤務

2003 〜 2010 Brother International EUROPE,LTD出向

2010 〜 2011 ブラザー工業株式会社勤務

2011 〜          トヨタケ工業株式会社 (2015年1月~社長就任)

筆者の自転車遍歴と海外渡航歴

・中学生の時にMTB NISHIKI を通学用に買ってもらい、学校まで8キロ毎日自転車通学を始め自転車の楽しさを知る。

・高校1年の夏に友人に誘われ1か月ポートランドにホームステイ。ステイ先の家族と自転車で毎朝サイクリングに出かける。なお、ホストファーザーは後ろにポリバケツを積んでいて、路上のごみを拾いながら走っていた。

・帰国後、よりアメリカに行ってみたいと思い高校2年の時に交換留学で現地の高校へ1年間通う。ホームステイ先がヒッピー流れの家族で、ワーゲンのバンでキャンプに行くなど、アウトドアライフを覚える。

・大学に入る際にPEUGEOTのMTBを購入。大学ではサイクリングクラブに所属し、関東の山々を走ったり、夏は毎年1か月北海道にキャンプを積んで走るなどする。

・1998年夏卒業旅行でユーラシア大陸陸路で横断する。神戸、天津、北京、モンゴル、ロシア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマークまで旅をする。

・卒業後、新入社員のボーナスでひとめぼれしたBrodieのダウンヒルマウンテンバイクを購入。富士見パノラマなどのダウンヒルコースで遊んだり、地元の里山でマウンテンバイクライドを楽しむ。

・2001年、勤め先の同僚に誘われ、クリティカルマス名古屋に顔を出すようになる。最終土曜日の午後自然発生的に集まった人たちで名古屋駅や栄などの市街地中心にて、公道における自転車の市民権を主張。

・2002年、友人を頼ってのオランダ渡航の際、ベルギーでもクリティカルマスをやっていると聞いて、ブリュッセルで開催されていた自転車でクリティカルマスに参加。

・2003年、勤め先の海外拠点のあるイギリスへ出向。現地ブランドであるORANGEのマウンテンバイクを購入し、トレイルライドを楽しむ。

・2011年、実家が経営するトヨタケ工業株式会社へ入社。名古屋と稲武の事業所を行き来する生活に。

・2015年には社長として同社を預かることに。同時にロードバイク、マウンテンバイクでの稲武フィールド探索がはじまる。

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